今回ご紹介する映画は、『オリエント急行殺人事件』です。
推理小説家アガサ・クリスティーの名作「オリエント急行殺人事件」の2度目の映画化された作品です。
1作品目は1974年に同じ作品名「オリエント急行殺人事件」で公開され、同年度アカデミー賞で主演男優賞、助演女優賞など計6部門でノミネートされました。
本作品は、あの「ハリー・ポッターと秘密の部屋」でロックハート先生役を演じた、ケネス・ブラナーが監督、主演を務めます。
あのふわふわメルヘンな先生役からは想像がつかない見た目になっています
本記事では、『オリエント急行殺人事件』をネタバレや感想を交えてご紹介します。
ちなみに、私自身は原作の小説を全く読んでおりませんので、映画を鑑賞した率直なレビューをしていきます!
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作品情報
タイトル | オリエント急行殺人事件 |
---|---|
原題 | Murder on the Orient Express |
製作年/国 | 2017年/アメリカ |
上映時間 | 114分(1時間54分) |
ジャンル | ミステリー |
監督 | ケネス・ブラナー |
脚本 | マイケル・グリーン |
原作 | アガサ・クリスティ |
キャスト | ケネス・ブラナー ジョニー・デップ ミシェル・ファイファー ジュディ・デンチ ペネロペ・クルス デイジー・リドリー ウィレム・デフォー ルーシー・ボイントン 他 |
予告動画
あらすじ
容疑者は乗客全員。
エルサレムで事件を解決した名探偵のエルキュール・ポアロは、イギリスでの事件解決を依頼され、急遽、豪華寝台列車オリエント急行に乗車する。
アメリカ人富豪ラチェットから、脅迫を受けているからと身辺警護を頼まれるが、ポアロはあっさりと断る。
その夜、雪崩で脱線し立ち往生してしまった車内でラチェットが何者かに殺害される。
鉄道会社から捜査を頼まれたポアロは、乗客たち一人一人に聞き込みを開始するが、乗客全員には完璧なアリバイがあることが判明するのだった…。
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/orient-movie
ここからはネタバレを含んだ内容となります。ご留意いただいた上、ご覧ください。
超豪華キャストで贈るミステリー
本作品は、かなり豪華なキャストで配役されています。
もはやそれを前面に出して売り出しているところがありますね!(笑)
ケネス・ブラナー(役:エルキュール・ポアロ)
まずは何といっても主役のケネス・ブラナー。
「マイティ・ソー」や実写版「シンデレラ」などの監督を務め、さらに「ハリーポッターと秘密の部屋」や「TENET テネット」などの主要キャラを演じてきたケネス・ブラナーが本作品の監督・主人公ポアロを務めます。
このポアロの写真のシーンでも伝わってきますが、原作を読んでいない私でもポアロがどんなキャラクターなのか、開始早々で理解できるほど役にどっぷりはまっています。この髪型、髭、服装もしっかり収まってる感じがしますよね(笑)
ジョニー・デップ(役:エドワード・ラチェット)
次は、もはや説明不要のジョニー・デップ。パイレーツ・オブ・カリビアン作品でもアイコニックな存在。
本作品では、物語の序盤、ポアロに警護を頼んでいることから、彼がキーパーソンとして話が進んでいくのかな、、、と思いきや割とあっさりと殺害されフェードアウトしてしまいました。
しかし、本当の名前が「ラチェット」ではなく「カセッティ」であり、数年前に起きた「デイジー殺人事件」の犯人!という設定のため、作中のキャラクターとしては最後まで影響力のあるものではありますが、2015年公開の映画「イントゥ・ザ・ウッズ」のように名前だけ広告で大きく出て作中では一瞬、、、のようにも感じてしまって少し残念でした。。。
ミシェル・ファイファー(役:キャロライン・ハバード夫人)
うわっ、この人気が強そうだなあ。。って皆さんも感じたその人がミシェル・ファイファー。
「I am Sam」や「アントマン&ワスプ」など、最近では母親役が多かった彼女ですが、今回はなかなかド派手な熟女のような印象で演じています。
作中では、なんかポアロに会った始めから馴れ馴れしいし、どうも話すことが嘘っぽいなあと感じながらも、なぜか背中を刺されてるし刺された自分は犯人じゃないでしょってわざわざ伝えるしで、なかなか話をややこしくしてくれました(笑)
でもそんなキャラクターを見た目、言動から作り出せるっていうのがより光っていましたね。
ジュディ・デンチ(役:ドラゴミロフ公爵夫人)
「007シリーズ」でお馴染みのジュディ・デンチ。
まず、この役は彼女にドはまりしてましたね(笑)なにかとケチ付けたり不機嫌な態度をとらせたら一級品と言わんばかりの演技で、観てる側ももはや彼女がこのイメージ通りじゃないかっていうくらいで観てて清々しかったです(笑)もう「ドラゴミロフ」て名前も全く名前負けしてないですよね(笑)
あの毒舌強気なキャラクターが時折見せる動揺した感じも、それまでの強い姿勢が観る側に植え付けられていたので、余計に心の揺らぎが見て取れました。
その他、には含めてはいけないキャストたち
冒頭にも触れたように、本作品はかなりの名俳優、女優たちが出演しているので、ちょっと書ききれん!てなってしまいます。(笑)
ただ、そこで思ってしまうのが各キャストの作中でのインパクトの問題です。
先ほどもジョニー・デップ自体の出番が少ない!と勝手な野次を飛ばしてしまいましたが、やっぱりキャストが多すぎる、さらにその一人ひとりの個が強すぎると、情報過多だしあの人の演技もっと観たかったなあと若干不完全燃焼になってしまうような気がします。
原作がそうなのでと言ってしまえばそれまでなんですが、豪華キャストが釣り広告で、本編は思ったよりキャストのインパクト薄ってなると、どうしてもすかし感が感じられてしまいました。。
主人公が賢すぎるがゆえの違和感!?
主人公ポアロは今回の事件を、過去の事件アームストロング家の「デイジー殺人事件」と紐づけて解決へ導いていきました。
ただ!それはポアロの知識としてあったもので、率直な感想ですが映画を観ている側からすると謎解きでもなんでもなく、ただのそんな事件会ったんだ~くらいのインパクトしかありませんでした。(原作で過去の事件とかで取り扱われてたら完全に原作読んでからの方が楽しめますね、、)
しかも、その事件に乗客全員が関与していて全員が首謀者!となると、いよいよ事件の発端を解明した!ではなく結果発表~!みたいな感覚になってしまいちょっと物語から置いていかれた感がありました。。
クライマックスはあのオマージュ
クライマックスはかなり興味深いものとなりました。
それは、ポアロが事件の謎を乗客全員に解明するシーン。
このシーン、何か見覚えがありますよね??
出典:西洋絵画美術館
そう、「最後の晩餐」です。
この「最後の晩餐」の『最後』とは、キリストがこの晩餐の翌日に逮捕されてしまうために、『最後』と名付けられています。この絵には他にも『裏切り』など様々な説がありますが、この逮捕前『最後』となるキリストの位置にいるのが、ハバード夫人です。
「カセッティ」を殺害しようとする首謀者がハバード夫人であり、キリストとリンクしていることは、『裁きを受ける者』であることを示していることになります。
この「最後の晩餐」は先にも『裏切り』の説もあると述べたように、様々な説や憶測が飛び交っています。もしかすると、このシーンにはもっと深い意味が込められているのかもしれませんね。
まとめ
『オリエント急行殺人事件』は、豪華キャストによる我々への謎解きの挑戦状!!
ポアロはクライマックスで「真実を公表しない」判断を下します。善か悪か、白か黒かを付けられない、そんな場面は人生においてたくさんあると思います。
正解なんてない、そんな世の中で自分の信念に則って選択をすること、そんな教訓を伝えてくれているようなポアロに心を突き動かされます。
ぜひ皆さんもお楽しみください!
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