今回ご紹介する映画は、『アムステルダム』です。
『世界にひとつのプレイブック』や『ザ・ファイター』、『ジョイ』などを手掛けたデヴィッド・O・ラッセルが監督を務め、クリスチャン・ベイル、マーゴット・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントン、ロバート・デ・ニーロなどの豪華キャストで贈る本作品。
本記事では、『アムステルダム』をネタバレありでご紹介します。
作品情報
概要
タイトル | アムステルダム |
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原題 | Amsterdam |
製作年/国 | 2022年/アメリカ |
上映時間 | 134分(2時間14分) |
ジャンル | ドラマ |
監督 | デヴィッド・O・ラッセル |
脚本 | デヴィッド・O・ラッセル |
キャスト | クリスチャン・ベイル マーゴット・ロビー ジョン・デヴィッド・ワシントン ロバート・デ・ニーロ ラミ・マレック アニャ・テイラー・ジョイ ゾーイ・サルダナ テイラー・スウィフト 他 |
キャスト
配役 | 役名 / キャスト / 概要 |
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バート・ベレンゼン (クリスチャン・ベイル) 退役軍人の治療を専門とする医師 | |
ハロルド・ウッドマン (ジョン・デヴィッド・ワシントン) 弁護士であり、バートの親友 | |
ヴァレリー・ヴォーズ (マーゴット・ロビー) バートとハロルドを戦時中に看た看護師 | |
ギル・ディレンベック (ロバート・デ・ニーロ) 実在した将軍スメドレー・バトラーをモデルとした元軍人 |
予告動画
あらすじ
舞台は1930 年代のニューヨーク。かつてオランダのアムステルダムで起きていた戦争で出会った3人は、アメリカの将軍が不自然な死を迎えたことを発端に、ある女性の殺人事件に巻き込まれ、その容疑者にされる。
かつて戦場で「何があってもお互いを守る」と誓っていた3人は、無実であることを証明し、実行犯を捕まえるためにある作戦を思い付くも、実行犯に迫れば迫るほど「巨大な権力が糸を引く陰謀」に巻き込まれる…
ここからはネタバレを含んだ内容となります。ご留意いただいた上、ご覧ください。
ネタバレ・感想
脇役が呈するもの
ゾーイ・サルダナが扮するイルマが、クリスチャン・ベイルが扮するバートに言います。
「必要ではなく、選択することが大事」
作中では、バートが一人で過ごす人生が寂しいからという理由から、当時の奥さんと結婚したことに対して向けられたのがこの言葉です。割と序盤で発せられた言葉であったがために、この映画は「必要」と「選択」を軸に物語が進んでいくんだろうと思っていましたが、最終的にバートがイルマを選択しましたという展開のみに落ち着いて結びとなりました。
このテーマとも言える、深みを持った言葉があまりにも掘り下げてもらえなかったため、メッセージやテーマが中途半端で、ただ実話に基づくストーリーを淡々と観させられるようにも思えました。が、あまりにも掘り下げられなかったことが、ある意味、観る人にとって含みを持たせてくれたような気もしました。
では、作中の「必要」と「選択」は、一体何を意味しているのでしょうか。
「必要」だったのか、それとも「選択」したのか
「必要」は、なくてはならないこと、何かをするために欠かせないこと。
「選択」は、数あるものの中から、目的を達成できるものを選ぶこと。
こんなことは調べるまでもなく、感覚的に使い分け出来ているものですよね。
では、なぜ作中でバートは当時の奥さんを「選択」したのではなく、「必要」だったと認識しているのか。
なぜイルマは、この二つの言葉を並列してバートに言い放ったのか。
あくまでも個人的な意見ですが、これは主観と客観で言葉選びが変わるものではないでしょうか。
単刀直入に言うと、どちらかを使い分けることで、都合の良いように自分を納得させられる、ということです。
「机を組み立てるのにネジが必要だったから買ってきた」
机を組み立てる行為は能動的ではありますが、ネジを買わないと完成させられない状況は、ある意味受動的の様に思います。
「机を組み立てるのに使う部品は、ネジを選択した」
僅かなニュアンスの違いでもありますが、組み立てる部品は釘やボンドなど他にも多くありますが、能動的にネジを求めています。
何が言いたいかというと、「必要」は受動的、「選択」は能動的な要素が強いです。
「必要」としていたからネジを買ったのではなく、数ある選択肢の中からネジを「選択」して買った方が、自分が納得してネジを買ったとより強く思うことができます。
これを『アムステルダム』のストーリーに繋げると、作中のイルマは、バートが自分の人生の寂しさを埋めるために当時の奥さんを必要としたと伝え、それが本当に納得して結婚したのかと疑問を呈しているのではないでしょうか。
これを言われたバートは、当時奥さんと結婚したのは「必要」だったと自分でも納得しているようにも見えましたが、観ているこちらからすると、当時は奥さんと結婚することをバート自らが「選択」しているんじゃないかとも取れます。
つまり、主観と客観で物事の捉え方は変化するし、どちら側につくこともできます。
バート達仲良し3人組は、その陰謀を暴くことをは無実を証明して事件を解決するために「必要」だった側になりますが、周りからすると事件解決のために陰謀を暴くことを「選択」したとも読み取れます。
いたちごっこですね。詰まるところ、「必要」も「選択」も良し悪しはないのではないでしょうか。
まとめ
キャストの演技力に依存しがちも、観やすい
今回は映画『アムステルダム』を紹介しました。
先にも述べたように、本作品はテーマやメッセージがありそうでないような流れでストーリーが進み、映画がエンドロールを迎える頃には、一つの歴史映像を豪華キャストで観たような感想も抱くかもしれません。
それも、2時間14分と長めの映画ではあるものの、視覚的にストーリーを理解していくというよりも、圧倒的に会話を聴いてストーリーや流れを理解していかなければいけません。
ですが、それも名だたるキャスト達の演技力でなんとかカバーされており、映画としては観やすい内容でした。
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